実運用から学んだ「安心・安全」なデータ更新UIの作り方

はじめに:保存できることと、安心して保存できることは違う

業務アプリケーションでは、データを「編集できる」こと以上に、
「安心して保存できる」ことが求められる場面が多くあります。

今回は、一覧形式でデータを編集・更新する業務画面の運用を通じて、
保存操作に対する不安がどのように顕在化し、
それを UI の工夫でどのように解消していったかを紹介します。

実装には Excel ライクな表編集ライブラリである Jspreadsheet を使用しています。

最初はセル内に保存ボタンを配置するシンプルな実装でしたが、
運用が進むにつれて「変更前後の差分を確認したい」という要望が出てきました。

その結果、差分確認モーダルを挟んでから DB に保存する仕組みを追加することになりました。


実運用で顕在化した課題:保存が怖いUIになっていた

機能としては問題なく動いていたものの、実運用が始まると次のような声が上がりました。

  • 「意図しない変更が混じっていないか不安」
  • 「保存前に一度確認できたら安心なのに」

これは不具合ではありませんが、
保存という操作に心理的な負担がかかっている状態でした。

ここで改めて感じたのは、

「編集できる UI」と「安心して保存できる UI」は別物である

ということです。


安全なデータ更新のための方針

この課題に対して、保存フローを次のように見直しました。

  1. セル内の保存ボタンを押す
  2. 変更前・変更後の差分を表示するモーダルを開く
  3. 内容を確認して OK なら DB 保存
  4. キャンセルなら何もしないで戻る

保存操作そのものは変えず、
保存前に「確認する時間」をUIとして用意することを方針としました。


なぜ差分確認をモーダルで行ったのか

理由は以下の通りです。

  • 今操作している行の文脈を保てる
  • 画面遷移せずに確認とキャンセルができる
  • 「確認して戻る」という動線が自然

保存前の一時的な判断を求める場面では、
モーダルが最も負担の少ないUIだと判断しました。


差分を「確認しやすく」するための設計

変更前データの扱い

  • API から取得した元データを基準にする

変更後データの扱い

  • 保存ボタンを押した時点の行データを使用する

差分生成で意識したこと

差分をすべて機械的に表示すると、
かえって確認しづらくなってしまいます。

そのため、次の点を意識しました。

  • 表示対象のカラムを限定する
  • 空文字と null を同一視する
  • 数値や日付は表示用にフォーマットする
  • 変更があった項目のみを表示する

「差分を出すこと」よりも、
「人が判断しやすい差分にすること」を優先しました。


迷わず判断できる差分確認モーダルのUI

差分確認モーダルでは、次のような構成にしています。

  • 変更があった項目のみを一覧表示
  • Before / After を並べて表示
  • アクションは「保存」「キャンセル」のみ

情報量を増やしすぎず、
ユーザーが迷わず判断できるUIを目指しました。


まとめ:実運用がUIを育てる

今回の改善を通じて、

  • 運用が進むと「保存前に確認したい」というニーズが顕在化する
  • UI 上で確認の機会を用意することで、心理的な不安を減らせる
  • 安心して保存できることで、実際の運用もスムーズになる

と感じています。

業務アプリケーションでは、
作って終わりではなく、運用を通じて完成度が上がっていくものだと思います。

表編集に限らず、 データを更新するUIを設計する際の参考になれば幸いです。


ほんだ

ほんだ

企画開発部エンジニア

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