パニックな私に上司が言った一言に救われた。初の主ディレクション案件。

1. 気合を入れて臨んだディレクション案件

「この案件、やってみてくれる?」

上司からそう言われた時は、正直、めちゃくちゃ緊張しました。ディレクターとして独り立ちするチャンスが巡ってきたのです。

案件は、既存ホームページのリニューアル。 2月にスタートして4月には公開という、1日も無駄にできない超短納期のプロジェクトでした。「よし、初めてだし頑張るぞ!」と、当時の私はかなり肩に力が入っていました。

2. 「順調」だと思っていたのは、私だけだった

ところが、3月に入ったある日。 ふとカレンダーと進捗表を突き合わせ、私は血の気が引くのを感じました。

スケジュール上は、もうデザインが完成して「実装(プログラミング)」に入っていなければならない時期。なのに、肝心のデザインの方向性すら決まっておらず、先方からのフィードバック待ちの状態で、プロジェクトが止まってしまっていたんです。

なぜ、ここまで放置してしまったのか。 言い訳をすれば、差し込みの他の案件で立て込んでいた、日常業務すら後回しにしている状態でした。でも本当の理由はそれだけじゃありませんでした。

実はその頃、プライベートで急な用事が重なり、勤務を調整させていただくことが増えていました。 休み明けには未読メールが溜まり、目先の返信やタスクをこなすだけで精一杯。この案件は優秀なデザイナーさんに「お任せします!」と言いながら、実は自分の余裕のなさを「信頼」という言葉で誤魔化して、一番大事な「旗振り」を後回しにしていたんです。

3. 「急かさなきゃ!」とパニックになる私に、上司がくれた言葉

「どうしよう、4月に間に合わない!早く返信を催促しなきゃ!」

半泣きでパニックになっていた私。怒られる覚悟で上司に相談したところ、意外な言葉が返ってきました。

「期限を厳しく伝えすぎるのは、逆効果だよ。相手に完璧を求めすぎると、こっちも完璧を求められて、結局自分の首を絞めることになるからね」 「まずは状況を正直に話して。なにか困っていることはないか聞いておいで」

その言葉で、ハッとしました。 自分も急な休みをもらったりして完璧ではないのに、相手にだけ「遅れてます、早くしてください!」と詰め寄れば、関係がギクシャクするのは目に見えています。カッコつけるのをやめて、「正直」になろうと決めました。

4. メールをやめて、正直に話してみたら

いつもは角が立たないように丁寧に文章を作り、メールで連絡を入れていましたが、思い切って直接お電話をしてみました。

「4月の公開に間に合わせるには、今デザインが決まらないと厳しい状況なんです。何か方針が決めにくい原因とか、こちらでお手伝いできることはありませんか?」

恐る恐る聞いてみると、クライアントからは意外な答えが返ってきました。 「実は……共有してもらったデザイン資料が見づらくて、社内で共有しづらいんです」

原因は、「情報の渡し方」という、なんてことない初歩的な配慮不足。 でも、メールの文字面だけで「ご確認いかがでしょうか」と送り続けていたら、この「見づらい」という本音には一生気づけなかったかもしれません。

5. 失敗して、やっとディレクターになれた気がする

資料を送り直し、不明点をその場で整理すると、プロジェクトが動き出し少し気持ちも落ち着きました。

この初めての案件で学んだのは、「予定通りに進めること」より「進まない理由を一緒に取り除くこと」のほうが、ずっと大事だということです。

進行過程で本当に大事なのは、以下の3点だと身をもって学びました。

  • 「いつまでに何をするか」「何を決めてほしいか」を明示的に示すこと
  • 遅れたら急かすのではなく、答えが出せない原因があるのか聞き取ること
  • 相手に寄り添い、困っている理由を取り除くこと

「初めて」の洗礼に上司のあの一言がなければ、私は今も一人でパニックになっていたと思います。

ですがこの会社では、管理職・管理部・エンジニア・非エンジニア分け隔てなく、困ったときにでも孤立しない、相談しやすい環境が整っています。非エンジニアだからこそ出せる意見を尊重してくれる風土があり、専門知識を分かりやすく説明し全体のレベルアップを図ってくれる人がいる。

こうした二人三脚で取り組んでくれる多職種の方に囲まれ、 4月の公開まであと少し。今はデザイナーさんもクライアントも、みんなと同じ方向を向いて走れている実感が、何よりのやりがいです。

うえき さき

うえき さき

企画開発部ディレクター・テスター IT業界は5年目になります。 資格取得のため、勉強中です!! 最近はキャッチボールにハマっています。

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