企画開発部の植木です。受託開発のディレクションやテストを行っています。
「ようやくシステムが完成した!これで一安心」……そう思われるお客様は少なくありません。
何カ月も準備し、打ち合わせを重ねて理想のサイトやシステムが完成した。ここで目標が達成され、開発会社との関係もひと区切り——。そう考えられる方も多いでしょう。
しかし、現場のテスター・ディレクターとしていくつものプロジェクトを見て痛感するのは「システムはリリースした瞬間から陳腐化が始まる」という現実です。
ビジネス環境は日々変わり、OSのアップデートやセキュリティリスクも常に変化します。
当社では、システム開発の先にある、定額の保守プランをお客様のご予算やサイトの規模に合わせてご提案しております。
本記事では、非エンジニア視点だからこそお伝えしたい、事業を止めない安心と価値を落とさない運用の重要性についてお話します。
保守とは「資産価値の維持」です
「システムやサイトは公開されたら完成。」「必要な機能が出てきたときにまた依頼すればいい。」「壊れた時に直せばいい。」「毎月そんなお金は払えないよ。」という考えをお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれません。
ですが、私たちが考える保守は、事業の継続性を守るための「未来への投資」です。私たちには3つの役割があると考えています。
事業を守る「継続性」の保守
セキュリティアップデートや脆弱性対応を行います。不正アクセスや予期せぬ停止からビジネスを守る“盾”の役割です。
変化に応える「柔軟性」の保守
OS更新や外部APIの仕様変更への対応です。世の中の変化にシステムを適応させ、常に「正常に動く」状態を維持します。
トラブルの影響を最小限に抑える「監視」の保守
最新の対策を行っても、それによって既存機能やデザインに不具合が生じる可能性があります。検証環境でのテストを経て本番反映を行うことで、トラブルの影響を最小限に抑えます。
非エンジニアのディレクター・テスターが保守に介在する意味
当社の保守が「エンジニア任せ」ではないのには理由があります。蓄積されたデータや現場の声から「どの機能を改善すればより業務効率が上がるか」を判断し、限られたリソースを最も価値の高い部分へ集中させる「羅針盤」が必要だからです。
「日常言語」と「技術」の翻訳者として
「なんとなくここが使いにくい」「ここをこうしてほしい」といった日常的なご要望を、システムのプロであるエンジニアへ的確に伝える。逆に、エンジニアからの回答を専門用語を使わずにかみ砕いてお客様にお伝えする。
この「翻訳」によってコミュニケーションを円滑にし、お客様側の確認工数や認識のズレによる手戻りを最小限に抑えます。
事例1 感覚的な違和感を言語化し、デザイン調整につなげる
このご相談をうけ、エンジニアに確認したところ、次のような回答が返ってきました。
その回答を基に私たちディレクターはお客様にこのようにご提案しました。
◆ポイント 専門用語をできるだけ使わずに、これをするとどうなるのかを自然な文章に変換してお伝えします。
事例2 ご要望を叶えつつ、仕様変更によるリスクを回避する
このご要望をエンジニアに相談した際には・・・
入力ボックスに過度な制限を設けると、実際に運用に携わる方やエンドユーザーにとって使いにくさの原因になることもあります。
一方で、制限をなくし過ぎると、後々のデータ活用に支障が出ることもあります。
そこでこのようにご提案しました。
◆ポイント エンジニアが懸念する「実装の難しさ」を、お客様にとっての「将来の不利益」に置き換えて分かりやすくお伝えします。
当社は自社ECも運営しており、「運用現場の悩みを、むやみに改修することで後の使いづらさにつながってしまう」といった、実際の運用経験に基づく知見が蓄積されています。
その知恵をお客様にも還元し、ご提案できることが当社の強みです。
スピード感を持った初動対応
保守をご契約いただいている多くのお客様とは、チャットツールで連携しています。営業時間の中で即レスを実現するため、複数のスタッフが通知を受け取り、可能な限り早く適切な担当者へつなげる体制を整えています。
この工夫により、突発的な不具合やご依頼に対しても迅速な初動対応が可能です。
「作ってよかった」と言われるために
費用を抑えるために、保守契約を結ばないという選択肢もあります。しかし、放置されたシステムはやがて「使いにくい負の遺産」になり、結局数年後に多額のコストをかけて作り直すことになりかねません。
定額の保守費用は、いわばシステムの価値を維持し続けるための「健康診断」なのです。
保守を怠るとどうなるのか
放置によるシステム劣化と再構築のリスク
保守している場合:OSやCMSの更新に合わせて少しずつ調整。また、PHP(システムを動かす言語)のバージョンアップも計画的にご提案し、常に最新の高速かつ安全な環境を維持できます。
放置した場合:数年後に「画面が崩れた、動かない」と発覚。調べてみるとPHPのバージョンが古すぎて、サーバーの最新仕様では動作すらしない状態に……。
コストの差:システムを動かすための様々なプログラムが更新されず、バージョンが数世代も空いてしまうと、一部の修理ではなく、システム全体のプログラムを書き換える必要が出てきます。こうなると、改修費用は部分修理の数倍〜数十倍に膨れ上がり、実質的にゼロから作り直しを迫られるケースが多々あります。この際には、原因究明のための調査費用も別途必要になります。
結果:毎月少しずつ手入れしていれば現役だったはずの資産が、一瞬で「負の遺産」に変わってしまいます。
保守の放置は検索順位の転落を招き、ビジネスチャンスを奪う
保守している場合:Googleの評価指標(表示速度やセキュリティ対策など)に基づき、検索エンジンから信頼されるサイトを維持できるよう、CMSのメンテナンスやシステム改修のアドバイスを行います。
放置した場合:システムの陳腐化により、パフォーマンスの極端な低下、潜在的なセキュリティ脆弱性の内在、および情報漏洩リスクの増大を招きます。これらの問題は運用障害へ直結し、サイトの信頼性を致命的に損ないます。
コストの差:検索順位が一度急落すると、元の順位に戻すためのSEOコンサルティング費用や、復旧までの期間(数ヶ月〜半年以上)に本来得られたはずの売上など、保守費用とは比較にならない莫大な機会損失が発生します。また、情報漏洩が発生した際には、顧客からの信頼を損なうだけでなく、社会的信用の失墜や損害賠償といった甚大な被害につながり兼ねません。
結果:広告費をかけて集客しても「入り口(サイト)で顧客を逃す」状態になり、企業のデジタル資産としての価値が大きく損なわれてしまいます。

パートナーとしての約束

システム開発は、家を建てることに似ています。建てた後のメンテナンス次第で、その家が長く住める名宅になるのか、数年でガタが来てしまうのかが決まります。
見た目はきれいでも暮らしにくかったり、なんだか落ち着かなかったり、「ここを変えたいのに、構造のせいで簡単には変えられない」という家になってしまうこともあります。
私たちは、お客様のビジネスの成長を共に支える伴走者でありたいと考えています。「作って終わり」にせず、5年後、10年後も「あの時、一緒に作って本当によかった」と笑い合える関係を、保守・運用を通じて築いていきます。